m

2 Garlics




令和3年度の栽培

まとめ


系統名
草丈

     (cm)


※5月上旬調査
112.7
95.7
120.6
90.0
58.7
105.3
86.7
茎の太さ
(5cm高)
(mm)

18.2
15.4
21.7
13.2
4.9
16.5
11.8
植え付け日
9月27日
9月27日
10月7日
9月27日
10月28日
9月27日
11月29日
収穫日(翌年)
5月22日
6月6日
6月12日
5月15日
5月15日
5月15日
5月15日
写真



(株全体)

写真



(球)


収穫物


(次作用種球を除いたあと)
※次作用種球以外の収穫なし

次作用種球



※胚珠を利用します
種球平均

重量(g)
74.8
45.2
78.8

30.3
76.6
27.2



【栽培結果考察】


【アホブランコ】


 アホブランコは初期から成長が良く、鱗茎も純白で大きい。病害の発生もさび病以外
には無く、とても育てやすい。ただ、野村氏系統と比較すると、野村氏系統の方がやや
収量も揃いも良いと判断された。


【アホモラード】


 アホモラード(スペイン・紫色種)はアホブランコ(スペイン・白色種)と比較する
と、草丈も鱗茎も有意に小さい。3年栽培してきたが、今後は細々と残していく程度に
作付けを減らすつもり。


【アイユローズ】


 今年度初めて栽培したアイユローズは、草丈、茎の太さとも最大で、非常に埼玉・武
蔵野の気候、土壌に適しているものと思われた。しかし、収穫時に鱗茎が未発達の個体
が3〜4割に登り、肥大している個体も、アホブランコ・野村氏系統に比べて一回り小
さかった。最も遅くまで収穫を待ったが、さらに晩成である可能性あるいは生殖成長へ
の移行が日本の気候に合っていない可能性のいずれかであると推察された。


【一片種ニンニク】


 初めて作付けたが、病気に弱く、途中枯死した個体が続出。また、基本的に1球から
1球しか収穫できなかった。ただ、1個体だけ胚珠を付けた。この個体は鱗茎も通常の
ニンニクのように鱗片に別れていた。この結果、1片種が品種なのか、気候影響による
変異した生育なのか、まったく分からなくなった。今度は胚珠からの栽培で様子を見た
い。


【紫々丸】


 南方系の品種・紫々丸は、播種遅れという若干のハンディキャップはあったものの、
さらに一ヶ月遅かったロシアンレッドと比較しても比べものにならないほど生育が悪
い。途中枯死した株もある。しかし、草丈・茎の太さの割には鱗茎は育っていた。


【野村氏系統】


 アホブランコ以上に肥大と揃いが良い。昨年はかなりさび病に犯されたが、それでも
十分な収穫であった。今年は2回の薬剤散布で完全に病害発生を押さえ込めた。栽培の
しやすさや収量の多さから、最も期待できる系統である。


【ロシアンレッド】


 ロシアンレッドはまだ謎の多い品種。植え付けは2ヶ月遅れたが、ある程度の生育量
は確保できた。しかし肥大は悪く、正品と言える個体は無かった。次年度、きちんと作
付けて生育を確認したい。なお、上部からは謎の『芽』が多数発生していたが、これは
二次成長というもので、側芽が休眠せずに伸びてきてしまったもの。これはロシアンレ
ッドが寒地型の品種だということを示唆している。




令和3年度栽培経過


 3月16日現在の状況(タイ産小粒ニンニクは除く)


アホブランコ
アホモラード
アイユローズ
一片種ニンニク
紫々丸
野村氏系統
ロシアンレッド
太くてしっかりとした茎に育っている。 アホブランコより茎径は細く、貧弱な感じ アホブランコ等より
は小さくて細め。少
し播種期は遅れた
こともあると思われ
る。
背丈は一番高い。
中国からの輸入食
品を作付けたせい

もあるのか、腐敗す
るなどの病害も多
い。
植え付け遅れの影響もあるだろうが、総じて細い。 今回の8系統の中
で最も太くてしっか
りとしている。
植え付けが大幅に
遅れ、年明けから
伸びてきた割には、
かなりしっかりとし
た茎葉を伸ばして
いる。



4月10日現在の状況(タイ産小粒ニンニクは除く)


アホブランコ
アホモラード
アイユローズ
一片種ニンニク
紫々丸
野村氏系統
ロシアンレッド
野村系統に遜色な
いくらいよく育って
いる。
背丈、太さともアホ
ブランコ等より貧
弱。
播種遅れは気にな
らない程度にしっ
かりと育っている。
すでに花芽も展
開。多くの株に病
害発生。このあと
どんな展開となる
のか興味津々。
総じて細くて貧弱。
他系統よりも明ら
かに生育が悪い。
病気も発生せず、
引き続き太くてしっ
かりとしている。
植え付け遅れが気
にならないくらいに
しっかりと育ってき
た。しかし、野村系
統よりはかなり小さ
い。



4月25日現在の状況(タイ産小粒ニンニクは除く)


アホブランコ
アホモラード
アイユローズ
一片種ニンニク
紫々丸
野村氏系統
ロシアンレッド
花茎が抽出してき
ており、野村氏系
統とほぼ同じ生育
状況。野村氏はア
ホブランコを母本
として選抜したの
ではないだろう
か。
アホブランコや野
村氏系統と比較す
ると、やや小さく
て細い。花茎の抽
出はまだで、少々
晩生な品種と見な
した。
生育旺盛で、8系
統の中で最も太く
て背が高いと思わ
れる。

細いまま枯死した
株を掘り上げてみ
ると、それなりの
サイズの鱗片が完
成していた。今、
まだ元気な株は、
このあとどうなる
のだろう?
細くて貧弱。きち
んと収穫できるの
か心配なほど。た
だ、病気が原因の
生育不良では無い
ようである。
今年度は赤さび病
も発生せず、順
調。花茎が抽出し
始めてきた。
しっかりと育って
はいるが、アイユ
ローズ等と比べる
と、大幅に細くて
小さい。





所有品種一覧



アホブランコ(ajo:ニンニク blanco:白色) 白色種(スペイン産)

 イオンやヤオコーで青果として販売されている輸入ニンニク。味も形も良いので重宝します。
 我が家で栽培すると、非常に生育良く、収量も取れる良品種です。店頭での表示名は『白いニンニク(アホブランコ)』とだけ。正式な品種名を輸入業者に問い合わせましたが、結局何の回答もありませんでした。





アホモラード(ajo:ニンニク morado:紫色) 紫色種(スペイン産)

 こちらもヤオコー等の店頭で紫色の輸入ニンニクとして、白色種と並んで販売されています。
 2年栽培してみましたが、球の肥大が悪く、分球も多いので、鱗片の大きさが白色種よりかなり小さくなってしまいます。料理に使うのは少々不便ですね!





アイユローズ(ail:ニンニク rose:ピンク) 桃色種(フランス産)

 こちらが、3球2千円をかけて購入したフランス産の桃色ニンニク。GI(地理的表示)では『AilrosedeLautrec(ロートレックのピンクにんにく)』として登録されているようです。桃色と言っても、内皮の紫色が薄く透けて見える感じです。
 今年が初栽培なので、生育や収量は不明です。少なくとも厳冬期は無事に乗り越え、順調な生育を見せています。





一片種ニンニク(中国産)

 極めて興味深くて謎の多い品種。普通のニンニクのように鱗片が別れていません。これそ育てるとどうなるのか、ネットでもほとんど情報がありません。鱗片が別れていなければ、どうやって増殖するのだろう?まずは植え付けてみましたので、その後に乞うご期待。





小粒ニンニク(タイ産)

 大久保のアジア雑貨店を物色していたらみつけたタイ産のニンニク。1月に入手したので適期栽培はできません。そもそも日本の冬を越せるのかも分かりません。今年度は室内の保温器で芽出しを行い、2月にトンネル内へ植え付けました。





紫々丸 

 こちらは正式に種苗として購入した国産の紫色ニンニク。食味も生育も全く未知数です。作付けも遅れましたが、それなりに生育が進んでいます。





野村氏栽培系統(埼玉県所沢市産)

 所沢市で『Organicfarmせっせと畑』という有機農業を営む野村氏から譲り受けた系統。スペイン産白色種と同様、あるいはそれ以上に生育が良く、さすが地元で選抜を続けた系統です。





ロシアンレッド(Russian Red Garlic :米国産)

 Amazonでアメリカから種苗として正式に輸入したニンニク。アメリカ産ながらロシアンレッド、それを日本の埼玉県で育てています。たった3球に送料込みで73US$かけたので上手に育てたいところですが、なんと注文から到着まで60日以上かかったため、植え付けが大幅に遅れました。まずは、来年度の種球確保に全力です。




<参考リンク>
 
             ○独立行政法人 農畜産業振興機構

             ○にんにく専門サイト

             ○株式会社木野物産

             ○Huerta Nature社(スペイン)

             ○フラッグ株式会社(ピンクガーリック)